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セメント

赤穂工場
セメントの約8割がコンクリートに用いられています。セメントは「ポルトランドセメント」「混合セメント」「特殊セメント」に分けられ、このうち、もっともポピュラーなのが「ポルトランドセメント」です。
ポルトランドセメントは用途に応じて化学成分を調整して製造され、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱等の種類があります。「普通ポルトランドセメント」が約7割、次いで「高炉セメント」が約2割の割合で製造されています。
ポルトランドセメントは、主原料の石灰石をはじめ、粘土、珪石、酸化鉄等を調合し1450℃以上の高温で焼成した「クリンカー」と呼ばれる塊状の物質を粉砕し石膏を加えて製造します。
一方、混合セメントは、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ系混合材等を混合して製造します。
特殊セメントは、ポルトランドセメントをベースにして製造したもので、膨張性や低発熱性等に特徴があり、各種用途に応じて粒度構成や成分を調整して製造します。

クリンカー主要化合物の特性等(相対的な傾向)

化合物
エーライト ビーライト アルミネート相 フェライト相
特性等
C3S C2S C3A C4AF
強度発現
極短期(1日程度)
中位 小さい 大きい 小さい
早期(28日まで)
大きい 中位 小さい 小さい
中長期(28日以降)
中位 大きい 小さい 小さい
乾燥収縮
中位 大きい 小さい 小さい
水和熱
中位 小さい 大きい 中位
水和反応速度
大きい 小さい 大きい 中位
化学抵抗性
中位 大きい 小さい 大きい
エーライト:ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)とほぼ同じ化学成でMgO、Fe2O3、AI2O3も多少固溶し、コンクリートの28日強度に寄与する。
ビーライト:ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)とほぼ同じ化学成分でFe2O3、AI2O3も多少固溶し、低熱ポルトランドセメントに最も主要な化合物で28日以降の強度に寄与する。
アルミネート相・フェライト相:これらは、ケイ酸カルシウムの隙間を埋めるように存在することから「間隙相」と呼ばれ、概ね全体の15〜18%を占めている。

セメントの種類

土木・建築分野での汎用的な使用に適した

普通ポルトランドセメント

  • 一般の土木・建築工事
  • 吹き付けコンクリート
  • 舗装コンクリート
  • 杭工事根固め用セメント
  • 左官用モルタル
  • コンクリート二次製品

化学抵抗性に優れ、長期強度の発現が良好な

高炉セメント

  • 一般の土木・建築工事
  • 河川・港湾の工事
  • 道路・トンネルの工事
  • ダム・橋梁等のマスコンクリート工事
  • ソイルセメント地中連続壁工事

水和熱が小さく、長期強度の発現に優れ、乾燥収縮が小さい

中庸熱ポルトランドセメント

水和熱の発生が少なく、ビーライトの含有量が多い

低熱ポルトランドセメント

  • 一般の土木・建築工事
  • 河川・港湾の工事
  • ダム・橋梁等のマスコンクリート工事

初期強度および低温時の強度発現性が大きい

早強ポルトランドセメント

  • 寒冷時期の工事
  • 緊急の工事
  • プレストレストコンクリート
  • 高強度のコンクリート
  • 各種コンクリート製品

フライアッシュが混合され、水和熱が小さく流動性が良い

フライアッシュセメント

水和熱が小さく長期強度に優れ、ダムコンクリートに適した

中庸熱フライアッシュセメント

  • ダム・橋梁等のマスコンクリート工事
  • 河川・港湾の工事

高知工場

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